HITOSAJI

小さな南国のコミュニティ、カオハガン島のくらしのひとさじ

カオハガン島の言葉のおはなし

こんにちは!

カオハガン島のyoshieです。

カオハガン島で暮らし始めて4年が過ぎました。

現地の男性と結婚したものの、わたしの言語能力の低さからか、まだまだ流暢に現地の言葉を話せません。

原因はオットが日本語を少し話せるということもあるのですが、なかなかわたしとの会話がうまく成立しないことに苛立ったのか、最近はスパルタ教育のようにバリバリの現地語を猛スピードでふっかけてきます。

おぉ。。オットよ。何言っているのか、わかりません。

そんな現地妻ですらあやふやなカオハガン島の現地の言葉、いったいどんなものでしょう。カオハガン島の島民と仲よくなるきっかけになる言葉のおはなし。カオハガンファン必見です。

 

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CONTENTS

 

カオハガン島の言葉のおはなし

 

フィリピンのビサヤ地区に位置するカオハガン島の言葉は、ビサヤ語です。

ビサヤ語は、近隣のセブ島でも話されており、セブアノ語とも言います。セブアノ語とビサヤ語は同じだとわたしは認識しておりますが、もしかすると細かな違いがあるかもしれません。イメージでは、ビサヤ語の方がなんだか古臭い感じはします。

カオハガン島は、小さな島。いわゆる田舎ですので、ビサヤ語と言いつつも、独特な発音の仕方、省略系があったり、コミュニティ内で通じる言い方などがあるようです。

 

ビサヤ語は簡単? 

基本的に私が使っているビサヤ語は、ジャパニーズビサヤ語です。時制や単語の並びもある程度の配慮はしつつも、めちゃくちゃです。でも、単語を並べれば、なんとか通じます。そうゆう意味では簡単な言語です。

わたしの話し方は、ボビーオロゴンが日本語を話すときのように、「オマエ、何スル?」というような話し方をしていると、想像しています。

家族や、一緒に仕事をしている島民スタッフは、ボビーなわたしのレベルに合わせて会話してくれるからとても助かります。わたしがボビー的に多少失礼な言い方をしてしまっても、島民たちは決して怒ったりしません。優しく見守ってくれています。

 

わたしのビサヤ語習得法

 

*わからない単語が登場したときに意味を聞く

*話したいことに含まれる、表現できない単語を教えてもらう

 

この二つのことを繰り返していくことで、ビサヤ語を習得してきました。といっても、わたしのレパートリーなんて少ないものです。わからない単語を教えてもらうのは、やっぱりオットが一番と思っていましたが、めんどくさいのか、はっきりと答えてくれません。英語で表現しづらい言葉が多いというのも事実ですが。

ムスメたちに教えてもらうのが一番かもしれないと、すでにオットから習うことを諦めています。苦笑

でも、ムスメが話していることがよくわからないという現実もすでに起こっています。

 

ムスメ「〇〇だよ!」

わたし「〇〇って、なぁに?」

ムスメ「だから、△△だって。」

 

わたしがわかるであろう単語に言い換えてくれるムスメ。涙

ありがとう。。母ちゃん、ちょっとずつ覚える。。!

ムスメの他に、オットの母ユーリもビサヤ語の先生です。母ユーリからは日常の生活で使うビサヤ語をボディランゲージで通じ、学ぶことが多いです。

先日、母ユーリがコウモリを説明しようとして、わたしにボディランゲージで手を翼に見立ててバサバサと動かしていましたが、わたしにとって鷹にしか見えず、分かり合えないことがありました。後になって、コウモリだと判明し、爆笑!という楽しい毎日です。

 

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カオハガン島の言葉とコミュニケーション

カオハガン島だけでなく、恐らくフィリピン全体でそうである、〝会話の最後に名前をくっつける〟ということが、とても面白い習慣です。

たとえば、オットがわたしに話しかけるとき、必ず名前(ヨシというのがわたしのニックネームです)を最後に入れてくれます。

 

「アリ バ、ヨシ(来なよ、ヨシ)!」

「カオン タ、ヨシ(食べよう、ヨシ)!」

「アサ カ、ヨシ(どこ行くの、ヨシ)?」

 

少々乱暴な感じで言うのが、島の訛りです。怒っているのではなく、愛情らしいです。

これはオットだけでなく、島民のほとんどの人が同じように、会話の語尾に名前を入れてくれます。

名前を呼んでくれるのは、とても嬉しいことです。わたしという存在を認めて、わたしに言ってくれているという特別感。彼らにすれば、当然であり、何気ないことなのですが、日本人のわたしにとっては、新鮮で心温まる習慣です。

 

すれ違うときに名前を呼ぶ、それがあいさつ

オットの友だちは、まだウリタオ(ビサヤ語で独身男性のことを指す)が多いのですが、ウリタオたち(いや、ウリタオでない人も)は、なぜかすれ違いざまにお互いの名前をちょっと変なドスの効いた声で呼び合います。

 

「ジャンドレー!」と呼ばれると、

「アルジューン!」と返す。

 

あ、オットの名前はジャンドレです。いや、ぶっちゃけて言うと、オットの名前の発音がよくわらかないのです。今回のところはジャンドレっていう名前にしといてください。笑

この風習はなんだかよくわからないのですが、オットの周りの仲良し軍団だけのルールなのかもしれないと、思っていました。

ところが、わたしもブラブラ歩いていると、すれ違いざまに「ヨォシー!」と、ドスの効いた声で呼ばれることがあるので、島民全体的にそうだということに気がつきました。

 

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名前を呼ぶと同じぐらいのレベルで使われてるいる「パリ」と「マリ」

生まれたばかりの子どもは、キリスト教の洗礼式を受けます。

洗礼式ときに、その子どものゴットファーザーとゴットマザーになってくれた人が、その子どもの成長を両親とともに見守るという風習があります。

子どもの両親は、ゴットファーザーのことを「パリ」と呼び、ゴットマザーのことを「マリ」と呼びます。

子どもももちろん、ゴットファーザー、ゴットマザーのことを、パリ、マリと呼びます。

ゴットファーザー、ゴットマザーもその子の父親のことをパリと呼び、母親のことをマリと呼びます。

ゴットファーザー、ゴットマザー同士もパリ、マリと呼び合います。

 意味わかりましたでしょうか?笑

つまり、洗礼式に参加した者は、子ども以外全員パリとマリです。笑

洗礼式は子どもが生まれる度に行われますので、島内のパリとマリの人口もどんどん増えていきます。もはや、パリとマリではない人はいないのではないでしょうか。

島内で誰かと誰かがすれ違いざまに、名前ではなく、「パリ〜」「パリ〜」と呼び合う姿をよく見かけますが、誰がゴットファーザーもしくはゴットマザーなのか、それとも洗礼を受けた子どもの親なのか、それとも洗礼を受けた子どもなのか、関係性が全くわかりません。

ひとつ言えることは、本人同士はわりと関係性を覚えているということと、敬意を持って、パリ、マリと呼び合っているということです。実に奥深い。

 

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道ですれ違う相手に、旬な一言で愛を叫ぶ

カオハガン島は、小さなコミュニティなので、毎日いつものメンバーと顔を合わせます。家族みたいなものですから、目であいさつしたりするものの、あえてあいさつをしなかったりもします。

ですが、比較的お調子者の島民は、すれ違う相手に、あいさつの代わりに一言浴びせます。

 

たとえば、妊娠中のわたしへの旬な一言でいえば、

「ハピット ナ アナッーク(もうすぐ子どもが生まれるねー)!」

「ダコ ナ ティアーン(お腹大っきくなったねー)!」

 

語尾を伸ばすような調子で、すれ違う相手に言い残して言うようにするのが特徴です。明るい性格の島民たちが相手を想いやるひとつの表現方法。爽やかなあいさつではなく、相手に対して旬な一言で、愛を叫ぶ。それが、ご近所さん同士が身を寄せ合って暮らしている島民たちの、狭く深い関係のつくり方なのかもしれません。

 

まとめ

ここまで言葉のことを紹介しておきながらですが、カオハガン島は言葉が通じなくても、笑顔で会話できる島民がたくさんいます。

もちろん、そんな彼らと専門的な話をすることは難しいかもしれませんが、「日常」という暮らしを笑顔と少しの言葉で、過ごすことは難しいことではありません。

むしろ、言葉がわからないからこそ、相手の目を見て、じっくり話を聞き、話の意図を注意深く汲み取るということが能力として身についていっているように思えます。

もちろん、毎度うまくいくことはありません。でも、相手の意図を聞き間違ってしまったり、勘違いしても、「あら。そりゃ違うよ!」と、笑い飛ばせるような関係っていいですよね。それこそが言葉を超えるコミュニケーション。

そんなコミュニケーションを味わえるカオハガン島はやっぱり楽しい!